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2004年02月18日

「MUSAー武士ー」クロサワ魂の後継者韓国にあり

現在、浜松松菱劇場で公開中の韓国映画「MUSAー武士ー」すごかったですよ~!

全盛期のクロサワ映画が再来したかと思いましたよ。

掲示板に載せた以外も、年末年始腐るほどアクション映画を観たのですが、これが最近のベスト1です!「ラストサムライ」の十倍はいい。韓国の武侠映画なんてめずらし~くらいの動機で見に行ったのに、臓腑にどかん!ときてしまいました。

14世紀後半、高麗が朝鮮に、元が明にとってかわろうとしていた大陸激動の時代。高麗は明に4回使節団を派遣しているらしいですが、そのうち一つが帰ってきた記録がない・・・
その史実を踏まえて、映画は「幻の使節団」の運命に思いを馳せています。「MUSA」の中で、若き将軍チェ・ジョンに率いられたその使節団は、明王朝にスパイ容疑で砂漠に流刑に処せられます。流刑地に赴く道中、一行は元(蒙古)軍に襲撃され明兵は虐殺され、敵対関係にない高麗使節団は、解放されます。彼らは、砂漠を渡り、故郷への困難な道を歩み始める・・・
 そして、偶然元軍に拉致された明の姫に出会い、姫を明王朝との交渉の道具にしようと、元軍から奪います。それが、彼らの運命をより苛酷な状況へと追いやるのでした。

この映画の魅力は、歴史を踏まえたリアルな状況描写と、ワイヤーワークスに犯されないこちらの肉と骨に響くような迫力の殺陣、登場人物たちの、運命を甘受しながらなお凛と生きる誇り高いたたずまい、などでしょう。
そう、往年のクロサワ映画のようでした。

クロサワの継承者が、韓国にいたとは驚きです。文化というのは、おもいがけないところに、脈々とつながっていくのですね。日本では、もうこんな映画はたぶんつくれないかもしれません。
この映画に出てくるような惚れ惚れする面構えの役者さんも、残念ながらいないのでは。最初主役かと思われた高麗の若い将軍は、現代的な整った顔立ちでつまらないのだけど、物語がころがりだした頃、立ち上がり出す真の主役たちの顔が、知性に富んで品格のある凶暴な獣のような顔で、その強い視線が、もうまっすぐに胸を射抜いてくるんですよ。

この映画にも、ラストの詰めが甘いなど、確かに欠点は多々あります。
でもいいの、そんなもの。欠点を補って余りある魅力があるから。

ところで!松菱映画は、カップルで行くと毎日一人あたり1000円で観られます。
たまには、パートナーとご一緒にいかがですか?

ばりばり骨太硬派の男性向き映画ですが、たぶんパートナーの女性は、韓国男優にぼ~と・・・それはまずいかな?

この映画は、ビデオでは魅力激減。映画館向けの作品ですよ~
ピグモンはたぶん、も一度映画館で見ると思います。
イメージトレーニング、イメージトレーニング・・・

投稿者 administrator : 22:47

2004年02月11日

「赤い月」―満州引き揚げの真実

只今公開中の映画、「赤い月」を観てきました。
直木賞作家なかにし礼氏の満州引き揚げの実体験を、彼の恋多き奔放な母を主人公に据えて書かれた同名小説が基になった作品です。

1945年8月、ご存じの通りソ連軍が満州に侵攻します。
小樽から満州牡丹江に渡り、関東軍と結びついて成功した造り酒屋(なかにし礼氏の実家)もそれにより崩壊し、母子がハルビンへ渡って翌年日本に引き揚げるまでの、多彩で複雑な人物達の死に様生き様が凄絶に描かれています。

少林寺の開祖も同様に苛酷な満州引き揚げを経験されて、それを通して、「人・人・人・・・全ては人の質にある」という認識と、アジアの平和への決意を固められたようですね。
「引き揚げ体験」といっても、なかなかわかりにくいものですが、この映画「赤い月」を観ると、その一端がうかがえるように思います。そういう意味で、拳士の方々におススメの作品かもしれないので、書き込みさせていただきました。

また、歴史の一面をリアルに教えてくれるという側面以外にも、人間の業とは何かも考えさせてくれる、なかなかの佳品だと思います。
たとえば、女主人公が、夫がありながら美貌の関東軍諜報員に恋をしてしまいます。そして、嫉妬から、彼と恋仲になった自分の娘のロシア人女性家庭教師をスパイだと密告し、結果として、ロシア人家庭教師をその恋人である関東軍諜報員に処刑させてしまうのです。その後の主人公と諜報員の因縁には、人間の罪深さ奥深さを感じ入らざるをえません。

主人公の激しい生き方に共感できるか否かで、この映画の賛否は別れるかもしれません。
そんなに自分たちだけ生き残りたいのか、みにくい、という娘に母は叫びます、「美しいもみにくいも、生きていなくちゃわからないじゃないか」と。あのせりふは、善悪の彼岸にある価値観だな~ 
強制労働で死んだ夫の死を告げられた時の、「国のために死ぬのが立派なことですか!生きてこそ立派なんじゃないですか!」このせりふは、サマワの自衛隊員に贈りたいかも・・・

<以下、追記>

先の映画中でも、関東軍が満州在留邦人を見捨てて遁走した事実を突いているのですが、ご関心のある方には、『ソ連が満州に侵攻した夏』(半藤一利著/文春文庫)をおススメします。いざというとき軍は国民を守らない、ということがなぜ起きたのか、これからも起きるのか、一考させられます。

個人的には、侵攻したソ連軍の暴行や略奪を、スターリニズムと関係づけた鋭い分析が興味深かったです。

投稿者 administrator : 22:47